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乱読のかけら (2021年8月​)

赦されて生きる、世界地図のすごい読み方、戦後最大の偽書事件『東日流外三郡 乱読のかけら (2021年8月​) 赦されて生きる 山本将信 日本キリスト教団出版局 (2020年12月14日発行・初版) 私の恩師の山本先生の遺稿集です。キリスト教に関心がある方にぜひ読んでいただきたいキリスト教入門のような説教集です。先生の少年時代の壮絶な体験のお話は、宗教とは関係なく、人の心を打つと思います。人生に悩んだり、苦しいことがあった人へのよきアドバイスの本です。 世界地図のすごい読み方 ライフサイエンス 知的生き方文庫 (2021年4月5日発行・初版) 結構知らないことが書かれていて、雑学の知識が増えたように思いました。私はカスピ海は湖だと思ってきましたが、今は海であるようです。またマレー半島からサバ、サラワクに行くのにパスポートがいるのは、サバ州、サラワク州の独立性が高いからという理由には納得いきません。 戦後最大の偽書事件『東日流外三郡誌』 斎藤光政 集英社文庫 (2019年11月6日発行) 青森のローカル新聞・東奥日報の記者である著者が長年に渡って追いかけたインチキ古文書事件を描いたノンフィクションです。謎解きのような取材の1つ1つが、推理小説のようで、とても面白く読むことができました。実は偽書は使い方によっては金儲けになることがわかりました。 物語を忘れた外国語 黒田龍之助 新潮文庫 (2021年4月1日発行・初版) ロシア語の専門家が書いた外国語に関するエッセイです。翻訳・通訳を生業としてきた私には興味深い内容でしたが、大学の先生と現場の人間の外国語に対する姿勢の違いを感じました。私は知らない単語は必ず辞書を引きますが、この先生は辞書なしで本を読むことを推奨しています。 学校では教えてくれない日本史の授業 井沢元彦 PHP文庫 (2013年3月13日発行) 和の精神、怨霊、言霊の3つで日本の歴史を説明する興味深い本です。実はこうだった、という形式の本なので、つい引き込まれて読んでしまいます。この本を読んでいる内に、この著者の言っていることが事実で、日本の歴史はそのように書き換えられるべきだと思ってしまいました。 アジア血風録 吉村剛史 MdN新書 (2021年4月11日発行・初版) 日本人のジャーナリストにしては、きちんと取材をし、確固たる視点を持って、アジアの状況を見、それを人々にわかるように書いている人だと思いました。特に中国とアメリカの関係については著者が書いている方向に、バイデン政権が向かっているようですので、すごいと思いました。 翻訳&通訳なら桜コンサルタント社にお任せ! Tel: +603-5638 3001 info@sakura.net.my http://www.sakura.net.my

乱読のかけら (2021年7月​)

野良犬の値段、ぼくの旅のあと先、帝国の弔砲、路、逝きし世の面影、東京の空の 乱読のかけら (2021年7月​) 野良犬の値段 百田尚樹 幻冬舎 (2020年12月25日発行・初版) 読み始めた時はつまらないと思いましたが、途中からどんどん引き込まれて、エンディングがどうなるのかを色々考えながら読みました。あらすじを書いてしまうと、この本を読む人の楽しみを奪うので、ただハッピーエンドと言える結末とだけ書かせていただきます。 ぼくの旅のあと先 椎名誠 角川文庫 (2020年12月26日発行・初版) この本を20代に読んでいたら、感動し、自分もこういう旅をしてみたいと思ったと思います。しかし60歳になる私には、こんな苦労をしてまで旅をしたくはないというのが正直な感想です。ぜひ若い人には、苦労をして世界を旅し、出会と発見をしてほしいと思います。 帝国の弔砲 佐々木譲 文藝春秋 (2021年2月25日発行・初版) 去年、佐々木譲の2つの小説を紹介しましたが、それらに比べるとこの小説は少しダイナミックさに欠ける地味な展開でした。しかしロシアに移民した日本人の子孫を主人公にするなど、設定は興味深く、日本とロシアが隣国であり、歴史を共有してきたことを感じました。 路 吉田修一 文春文庫 (2020年6月20日発行) 台湾の新幹線プロジェクトに関わった日本人女性と彼女が学生時代に出会った台湾人男性の物語です。言葉がよく通じない人どうしは、言葉で互いの感情を傷つけることがなく、しかも行動や表情で思いを伝えようとするので、愛が芽生えやすいのだと思いました。 逝きし世の面影 渡辺京二 平凡社 (2018年4月18日発行) 渡辺京二という人は歴史の研究者でありながら、まるで歴史小説を書くように歴史を描くことのできる人だということをこの本で確信しました。去年紹介した「バテレンの世紀」と同様、この本も江戸末期から明治の初めの日本の人々が実に生き生きと描かれています。 東京の空の下、オムレツの匂いは流れる 石井好子 河出文庫 (2016年4月30日発行) シャンソン歌手の石井好子が料理レシピを紹介しながら、料理にまつわる思い出を書いたエッセイ集です。これらのエッセイが最初に雑誌に連載された昭和の終わりには、まだ紹介されている料理がそれほど知られていなかったと思うと隔世の感があります。 翻訳&通訳なら桜コンサルタント社にお任せ! Tel: +603-5638 3001 info@sakura.net.my http://www.sakura.net.my

乱読のかけら (2021年6月​)

フンボルトの冒険、近代と現代の間、義のアウトサイダー、超・殺人事件、恋のゴ 乱読のかけら (2021年6月​) フンボルトの冒険 アンドレア・ウルフ NHK出版(2017年1月30日発行・初版) 鍛原多恵子訳 フンボルトの「コスモス」に高校生の頃に魅了され、私が生徒会長を務めた高校の生徒会広報の名称を「コスモス」としました。その後フンボルトはご無沙汰でしたが、この本を読んで、フンボルトの人柄と生涯がよく分かり、かつ彼の冒険は中南米とロシアだけだったことも分かりました。 近代と現代の間 三谷太一郎対談集 東京大学出版会 (2018年7月20日発行・出版) 対談で語られている内容が昔の話で、しかも関係者にだけ楽しい内輪の話の色彩が強いのが少し鼻につきました。近代と現代の間というタイトルのテーマそのものの議論がほとんどないのも、看板に偽りありです。1つの発見は、昔は思想家が政治に大きな影響を及ぼしたということです。 義のアウトサイダー 新保祐司 藤原書店 (2018年11月10日発行・初版) タイトルと内容は少し違っているように思いますが、内村鑑三の果たした役割、信時潔の音楽に関しては、知っていたこととは違った新しい見方を学ぶことができました。特に音楽家としての信時潔と、彼の「海ゆかば」と「海道東征」の再評価は的を得た、素晴らしいものだと思います。 超・殺人事件 東野圭吾 角川文庫 (2020年1月25日発行・初版) 今まで読んできた東野圭吾のミステリーに比べると、かなり手抜きで、何も調べずに、アイデアだけで小説を書いたという感じが否めない短編集で、少し残念な気持ちになりました。しかし自虐的というか、高齢の同業者のこき下ろし方は、それなりに面白く、漫才のネタになると思います。 恋のゴンドラ 東野圭吾 実業之日本社文庫 (2019年10月15日発行・初版) スキー場を舞台にしたラブコメディーです。ミステリー物に比べるとかなりレベルが低く、視聴率のパッとしないテレビドラマという感じです。登場人物がもう少しくっきり描かれていると感情移入ができたのですが、紋切り型の人たちばかりで、サラっと読んでお終いの本でした。 スパイの妻 行成薫 講談社文庫 (2020年10月7日発行) 筋は面白い、しかし小説としての書き方がイマイチでした。しかし戦前ペストを生物兵器として使うことを計画した日本軍とその情報をアメリカに届けようとするスパイの動きは、コロナの時代の今、どこかの国の陰謀を暗示しているようで、興味深く読むことができました。 翻訳&通訳なら桜コンサルタント社にお任せ! Tel: +603-5638 3001 info@sakura.net.my http://www.sakura.net.my

乱読のかけら (2021年5月​)

破裂(上・下)、音楽家の名言、戦争の日本古代史、寛容についての手紙、説教を 乱読のかけら (2021年5月​) 破裂(上・下) 久坂部羊 幻冬舎文庫 (2007年8月10日発行・初版) 「白い巨塔」に匹敵する小説との触れ込みでしたが、「白い巨塔」ほどスケールは大きくなく、しかしあまりに理不尽な厚労省の官僚の動きが不気味にストーリーの展開に絡んでくるところが、別の意味で面白さを誘っていました。しかし医学部や病院とはつくづく伏魔殿だと感じました。 音楽家の名言 檜山乃武 ヤマハミュージックメディア (2011年2月20日発行) 世界の有名な音楽家たちの名言には納得させられるものがたくさんありました。特に映画「アマデウス」で作られたモーツァルトのイメージが、この本で紹介された言葉で覆りました。モーツァルトは天然の天才ではなく、名言を生み出せるほど苦労をした人だということが分かりました。 戦争の日本古代史 倉本一宏 講談社現代新書 (2017年5月20日発行・初版) 白村江の戦いが実は既に百済が1度滅亡して、日本にいた人質の王子を奉じて百済の再起を賭けた戦いだったこと、またその場所が日本で言われているような地形ではなく、何キロにも及ぶ大きな干潟だったことなどの歴史の真実と、日本人の朝鮮感の形成などを知ることができました。 寛容についての手紙 ジョン・ロック 岩波文庫(2018年6月15日発行・初版) 加藤節・李静和訳 この手紙が書かれた17世紀のヨーロッパ、特にイギリスの教会事情が分からないと全く何を言っているのか、よく分からない本です。為政者の力を利用して、他教派を弾圧する教会の指導者への寛容の呼びかけということは分かりますが、なぜ現代人のために出版したのかは意図不明です。 説教を知るキーワード 平野克己 日本キリスト教団出版局 (2018年3月7日発行・初版) 教会で説教をする牧師のために書かれた本です。しかし内容は現在牧師をしている先生方にはあまりにも当たり前のことばかりで、むしろ信徒が牧師の苦労を知り、牧師の説教をきちんと聞くための奨めのような内容になっています。私も信徒として、説教をきちんと聞こうと思いました。 カール・バルト 未来学としての神学 福島揚 日本キリスト教団出版局 (2018年8月1日発行・初版) 40年前、クリスチャンになった頃の私には、カール・バルトという人は訳のわからない、難しい神学を展開する人にしか思えませんでした。しかし最近、カール・バルトの著作のいくつかを読んで、共感することがあり、この紹介本を読んでみました。バルトは期待通りの神学者でした。 翻訳&通訳なら桜コンサルタント社にお任せ! Tel: +603-5638 3001 info@sakura.net.my http://www.sakura.net.my

乱読のかけら (2021年4月​)

未来、レイクサイド、ラストレター、マチネの終わりに、建築探偵の冒険・東京編 乱読のかけら (2021年4月​) 未来 湊かなえ 双葉社 (2018年5月23日発行・初版) 読み始めた時は、普通の人の日常生活のちょっとした苦労や事件を話題にした、同時代の同世代の人受けするだけの小説かと思いましたが、読み進めていくと、登場人物の過去が明らかにされ、かつそれそれが絡まり合って物語が構成されていることが分かり、最後には虜になってしまいました。 レイクサイド 東野圭吾 文春文庫 (2017年10月25日発行) 天才・東野圭吾の本は、片っ端から読んでしまうと勿体無いので、小出しにして読んでいます。この本の面白いところは、有名私立中学への裏口入学とそのための母親の肉体奉仕、中年夫婦の自由恋愛、職場不倫、子供の残虐性などの現代の暗部がごく自然に組み合さり、展開していることです。 ラストレター 岩井俊二 文春文庫 (2019年11月30日発行) 「ラストレター」という映画がノベライズされたもののようですが、普通の小説としても十分通用する凝った展開のストーリーです。過去の出来事が明らかにされていくのと同時に、現在の状況が展開していくという構図が巧みに描かれていました。特に登場人物がそれぞれ個性的です。 マチネの終わりに 平野啓一郎 文春文庫 (2019年11月25日発行・初版) できることなら、こんなロマンチックな恋を死ぬまでにしてみたい、でも苦しすぎる、と思いました。たった数回しか会ったことがなく、肉体関係のない男女が、惹かれ合い、愛し合うことがあまりに自然に語られているので、いつの間にかハッピーエンドを期待してしまう展開でした。 建築探偵の冒険・東京編 藤森照信 ちくま文庫 (2007年4月25日発行) この本は建築が好きな人でないとあまり面白くないと思います。実際、私も退屈しました。ただ東京のど真ん中に緑に溢れた皇居があることについての考察、マッカーサーの使ったホテルや建物とその部屋、立て直す前の東京駅の探訪、聖路加病院の内部などについては興味が持てました。 ポケット詩集 II 田中和雄 童話屋 (2001年10月19日発行・初版) この詩集には、私が日本の詩の中で最も好きな三好達治の「雪」が入っていました。また私の好きな詩人の黒田三郎の詩も3編入っていて、若い頃に親しんだ詩と再会することができました。私は隠喩を駆使した意味がよくわからない詩よりも、言葉そのものが心を動かす詩が好きです。 翻訳&通訳なら桜コンサルタント社にお任せ! Tel: +603-5638 3001 info@sakura.net.my http://www.sakura.net.my

乱読のかけら (2021年3月​)

白百、ポケット詩集、共犯マジック、希望荘、天皇は本当にただの象徴に堕ちた 乱読のかけら (2021年3月​) 白百 原研哉 中央公論新社 (2018年1月10日発行・初版) 素晴らしいエッセイ集です。できることなら私もこういうエッセイを書いてみたいと思いました。グラフィック・デザイナーで、美大の教授を務める著者が書いた「白」に関係する100本の珠玉の随想には、著者が知的生活、美的生活を正しく送っていることを垣間見ることができます。 ポケット詩集 田中和雄編 童話屋 (2000年6月14日発行) この詩集からいくつか覚えてしまいたい詩を見つけ、ノートに書き写しました。吉野弘の「祝婚歌」、与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」、谷川俊太郎の「死んだ男の残したものは」、金子光晴の「奴隷根性の唄」などです。日本語はとても豊かで、言葉遊びを楽しめる言語だと再認識しました。 共犯マジック 北森鴻 徳間文庫 (2017年11月20日発行) 悪いことしか予言しないのにタイトルが「フォーチュンブック」という占い本が、日本中の自主回収で消えた中、最後に残った本を松本の書店で買った人たちが様々な事件に巻き込まれて行き、それが学園紛争、3億円事件やグリコ森永事件などに関係してくるという壮大な犯罪小説です。 希望荘 宮部みゆき 文春文庫 (2018年11月10日発行・初版) 短編小説集ではありますが、どれも私立探偵の杉村が捜査を展開するシリーズ物で、1つの長編小説としても読むことができます。どれもストーリー性に優れていますが、私は表題作の「希望荘」が、人の心の動きを巧みに掴んでいて、かつ心温まる部分も含んだ上質なストーリーだったと思います。 天皇は本当にただの象徴に堕ちたのか 竹田恒泰 PHP新書 (2018年1月5日発行・初版) 竹田恒泰という人は、ただの旧皇族の末裔で、マスコミ受けすることを言って食べている人だと思っていましたが、この本を読んで、真面目に天皇制と憲法について研究していることが分かりました。ただ彼の主張がどれだけ現実の政治の世界で影響力を持つかは別のことだと思います。 うつくしいもの 八木重吉 日本キリスト教出版 (2018年9月25日発行・初版) 八木重吉は、多田武彦作曲の男声合唱組曲「雨」の終曲の「雨」によって、クリスチャンよりも男声合唱をする人の間でよく知られています。今回改めて八木重吉のキリスト教信仰に関わる詩を読み、この人の信仰は素朴なだけではなく、深く、精神性に優れたものであったことがわかりました。 翻訳&通訳なら桜コンサルタント社にお任せ! Tel: +603-5638 3001 info@sakura.net.my http://www.sakura.net.my

乱読のかけら (2021年2月​)

バテレンの世紀、介入する神の言葉、愛するということ、シュンスケ、食の話 乱読のかけら (2021年2月​) バテレンの世紀 渡辺京二 新潮社 (2017年11月30日発行・初版) 日本へのキリスト教宣教の第1波を、これほど詳細かつ包括的かつ客観的に書いた人はおそらくこの著者以外にいないでしょう。日本に起こったことだけでなく、マニラ、マカオ、インド、ヨーロッパの動きをも網羅し、当時の政治経済状況から歴史を解明する手法は実に素晴らしいです。 介入する神の言葉 W.H.ウィリモン 日本キリスト教団出版局 (2014年8月20日発行・初版)上田好春訳 神と人間との関係を神学的に考察した本です。この著者は神と人間の関係をあまりに複雑怪奇なものと規定し、普通の人の素朴な信仰を否定しているように感じました。神と人間は親と幼児の関係のように、神が無条件に人を愛し、人はその愛にすがって生きるものだと私は思っています。 愛するということ エーリッヒ・フロム 紀伊國屋書店 (2018年10月29日発行)鈴木昴訳 愛をいろいろな形で分析した本ですが、もともと日本語とドイツ語の愛の概念の違いがあり、愛に抱くイメージにも日本人とドイツ人では隔たりがあるので、日本語の翻訳では著者の真意が伝わりにくいように思いました。これを読み、完全に理解するには事前勉強が必要だと感じました。 シュンスケ 門井慶喜 角川文庫 (2016年7月25日発行・初版) 伊藤博文の少年から青年時代を描いた小説です。吉田松陰、高杉晋作、坂本龍馬に高い評価を与えていないところが面白いです。幕末の歴史を知っている人が読むと興味深いと思いますが、あまり知らない人が読むと、日本最初の総理大臣の若い頃の話だけに終わってしまうと思います。 食の話 このミステリーがすごい編集部 宝島文庫 (2015年10月20日発行・初版) 5分で読める!ひと駅ストーリーのシリーズで、食関係を集めた短編小説集です。ほとんどの話は面白かったです。ただ、食と言いながらも、美味しい食べ物が主人公になり、思わず食欲が湧いてくる描写がある小説は少なかったです。しかし電車通勤の際の読書には向いている本です。 なんのための『教養』か 桑子敏雄 ちくまプリマー新書 (2019年7月10日発行・初版) 期待して読んだ私が馬鹿だった、と思ってしまいました。教養とは何か、とか、教養を身につけることはどういうことか、などという問いは、神の存在証明同様、ほぼ回答がでないことに挑むことで、この著者の場合、自分が大学で教えてきたことを自画自賛し、教養を語っただけでした。 翻訳&通訳なら桜コンサルタント社にお任せ! Tel: +603-5638 3001 info@sakura.net.my http://www.sakura.net.my

乱読のかけら (2021年1月​)

パチンコ、新酒番船、思い出の昭南博物館、教科書には載せられない暴君の素顔 乱読のかけら (2021年1月​) パチンコ(上・下) ミン・ジン・リー 文藝春秋 池田眞紀子訳 (2020年7月30日発行・初版) 在日コリアンの家族の歴史を描いた小説です。原文は韓国語ではなく英語で書かれ、それを日本人が日本語に翻訳しました。タイトルを「パチンコ」でなく、在日コリアンのクリスチャンの激動の歴史を表すものに意訳するなら、もっと多くの日本人に読んでもらえるような気がします。 新酒番船 佐伯泰英 文春文庫 (2020年6月20日発行・初版) 灘の酒を江戸に運ぶ船の航海をめぐる人間模様が描かれています。江戸時代、海路を使った日本国内の物流が盛んだったこと、関西で作られた酒を江戸の人々が日常的に飲んでいたこと、またボジョレヌーボーの解禁日のような制度があったことなどを知るだけでも、楽しく読める小説です。 思い出の昭南博物館 E.J.H.コーナー 紀伊国屋書店 石井美樹子訳 (2016年6月30日発行・初版) 日本軍が占領した当時のシンガポールの博物館と植物園で働いていたイギリス人が書いたノン・フィクションです。著者のせいなのか、翻訳者が力不足なのかはわかりませんが、かなり読みにくい本です。しかしシンガポールの中心部に4年間住んだ私にはそれなりに懐かしい内容でした。 教科書には載せられない暴君の素顔 山口智司 彩図社 (2020年9月4日発行・初版) 著者が大学の後輩なので、親しみを感じて、この本を買ったのですが、読んでみて、ほとんど知っていることしか書かれていなかったので失望しました。暴君の悪行が殺人中心というのも物足りないし、殺人者の数を論じるなら毛沢東が取り上げられていないのはおかしいと思いました。 日本人が知らない最先端の世界史 福井義高 祥伝社黄金文庫 (2020年8月20日発行・初版) この本に書かれている内容には目から鱗が落ちました。特に日本の左翼系の人にはぜひ読んでいただき、自虐史観を改めて欲しいと思います。読後に持った疑問は、「共産主義とはなんだったのだろうか?」「どうして多くのエリートたちが共産主義に魅了されたのだろうか?」です。 『古今和歌集』の創造力 鈴木宏子 NHKブックス (2019年11月30日発行) 10代の頃、万葉集に惹かれ、その後、新古今和歌集に魅了されましたが、古今和歌集にはそれほど興味を持っていませんでした。この本を読んで、古今和歌集の重要性と構成の素晴らしさを少しは理解できましたが、それぞれの和歌の魅力については未だそれほど感じられていません。 翻訳&通訳なら桜コンサルタント社にお任せ! Tel: +603-5638 3001 info@sakura.net.my http://www.sakura.net.my

乱読のかけら (2020年12月​)

日本国紀、大東亜戦争の実相、罪の声、絵に隠された記憶、旅する作曲家たち 乱読のかけら (2020年12月​) 日本国紀 百田尚樹 幻冬舎 (2018年11月20日発行) やはり百田氏をもってしても、日本の歴史のすべてを新たに面白く語ることは難しかったようです。江戸時代までは大幅なスキップがあり、近代になると記述は詳しくなります。しかし歴史読み物としてはおもしろく書かれているので、読んでみる価値はあると思います。 大東亜戦争の実相 瀬島龍三 PHP文庫 (2009年11月6日発行) 明治以降の日本という国家機構自体の問題から、大東亜戦争に至った経緯が実に克明かつ批判的、しかし冷静に書かれているので、とても好感の持てる日本近代史の本です。昭和の初めによいリーダーに恵まれなかったことが日本の不幸だということを感じました。 罪の声 塩田武士 講談社文庫 (2019年5月15日発行・初版) グリコ森永事件の真相を推理した小説です。事件当時、神戸に住んでいた私には、事件がとても身近で、テレビで報道される事件の展開をスリリングな気持ちで見ていたのを思い出します。この作者のグリコ森永事件の回答は真実に近いのではないかと思います。 絵に隠された記憶 一色さゆり 宝島社 (2019年5月24日発行・初版) 描かれた絵から作者の心理を読み解き、心の治療をする絵画療法を使った謎解き小説です。ネタに困った作家が、手っ取り早く謎解きのできる方法として絵画療法を選んだのではないかと思うほど、新鮮さと驚きのない平凡なミステリーもどきの展開になっています。 旅する作曲家たち コリンヌ・シュネデール ARTES(2019年4月30日発行・初版) 西久美子訳 題材はとても興味深いのですが、この本は実につまらなく書かれています。調べたことをきちんと書いただけという感じが否めません。数人の作曲家にのみ焦点を当てて、彼らの旅と曲の関係を物語として語ってくれたら、おもしろく読めたのになあと思いました。 NHK国際放送が選んだ日本の名作 朝井リョウ 他 双葉文庫 (2019年7月14日発行・初版) これは文句なくすばらしい短編小説集です。どの小説にも必ず光るものがあり、ぐいぐい読ませてくれます。小説は荒唐無稽ではなく奇想天外、どんでん返し、勧善懲悪などの要素があると楽しく読めるということをこの短編小説集は再認識させてくれました。 翻訳&通訳なら桜コンサルタント社にお任せ! Tel: +603-5638 3001 info@sakura.net.my http://www.sakura.net.my