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バテレンの世紀、介入する神の言葉、愛するということ、シュンスケ、食の話

乱読のかけら (2021年2月​)

バテレンの世紀

渡辺京二

新潮社
(2017年11月30日発行・初版)
日本へのキリスト教宣教の第1波を、これほど詳細かつ包括的かつ客観的に書いた人はおそらくこの著者以外にいないでしょう。日本に起こったことだけでなく、マニラ、マカオ、インド、ヨーロッパの動きをも網羅し、当時の政治経済状況から歴史を解明する手法は実に素晴らしいです。

介入する神の言葉

W.H.ウィリモン

日本キリスト教団出版局
(2014年8月20日発行・初版)上田好春訳
神と人間との関係を神学的に考察した本です。この著者は神と人間の関係をあまりに複雑怪奇なものと規定し、普通の人の素朴な信仰を否定しているように感じました。神と人間は親と幼児の関係のように、神が無条件に人を愛し、人はその愛にすがって生きるものだと私は思っています。

愛するということ

エーリッヒ・フロム

紀伊國屋書店
(2018年10月29日発行)鈴木昴訳
愛をいろいろな形で分析した本ですが、もともと日本語とドイツ語の愛の概念の違いがあり、愛に抱くイメージにも日本人とドイツ人では隔たりがあるので、日本語の翻訳では著者の真意が伝わりにくいように思いました。これを読み、完全に理解するには事前勉強が必要だと感じました。

シュンスケ

門井慶喜

角川文庫
(2016年7月25日発行・初版)
伊藤博文の少年から青年時代を描いた小説です。吉田松陰、高杉晋作、坂本龍馬に高い評価を与えていないところが面白いです。幕末の歴史を知っている人が読むと興味深いと思いますが、あまり知らない人が読むと、日本最初の総理大臣の若い頃の話だけに終わってしまうと思います。

食の話

このミステリーがすごい編集部

宝島文庫
(2015年10月20日発行・初版)
5分で読める!ひと駅ストーリーのシリーズで、食関係を集めた短編小説集です。ほとんどの話は面白かったです。ただ、食と言いながらも、美味しい食べ物が主人公になり、思わず食欲が湧いてくる描写がある小説は少なかったです。しかし電車通勤の際の読書には向いている本です。

なんのための『教養』か

桑子敏雄

ちくまプリマー新書
(2019年7月10日発行・初版)
期待して読んだ私が馬鹿だった、と思ってしまいました。教養とは何か、とか、教養を身につけることはどういうことか、などという問いは、神の存在証明同様、ほぼ回答がでないことに挑むことで、この著者の場合、自分が大学で教えてきたことを自画自賛し、教養を語っただけでした。

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