pbcol共通語の世界史、日本語は哲学する言語である、言語が違えば、世界も違って
乱読のかけら (2020年8月)
共通語の世界史
クロード・アジェージュ
白水社(2019年2月20日発行)
糟谷啓介・佐野直子訳
言語という切り口でヨーロッパの歴史が詳細に記述されています。言語と民族は必ずしも不可分ではないということがよく分かりました。商業、宗教、軍事などの影響によって人々が使う言語が、それほど長い時間を掛けずに変えられていくことがヨーロッパの歴史からよく分かりました。
日本語は哲学する言語である
小浜逸郎
徳間書店
(2018年7月31日発行・初版)
タイトルと内容がかなり違っている本です。日本語の特徴についての記述が多く、日本語と哲学の関係についてはあまり突っ込んだ考察がなされていません。また著者がなんとなく普通でない思考回路を持っているので、本の内容がどんどん横道に逸れていくようにも感じられました。
言語が違えば、世界も違って見えるわけ
ガイ・ドイッチャー
インターシフト
(2017年6月6日発行)椋田直子訳
ギリシャの詩人のホメロスが描く空が青くない、ということから始まった研究の歴史と著者の出した結論は実に興味深いです。またヨーロッパ言語の女性名詞、男性名詞に関する考察もおもしろいです。ヨーロッパの言葉をきちんと学んでいなくても興味深く読める楽しい学術本です。
ことばの哲学 関口存男のこと
池内紀
青土社
(2010年10月25日発行・初版)
東京・日本橋の丸善の哲学コーナーに並んでいたので、てっきり言語哲学の本と誤解し買ってしまいましたが、ことばの哲学についての記述は全くなく、関口存男というドイツ語の先生の伝記でした。結構変わった語学の勉強の仕方が紹介されていましたが、それが何?という感じです。
日本人の9割が知らずに使っている日本語
岩田亮子
青春出版社
(2020年1月25日発行・初版)
日本語に関する疑問を提起という意味では素晴らしいとは思いますが、その回答に貧弱なものが多く、私のトリビアの泉を満たしてくれるにはほど遠い内容でした。例えば、一番のトピックの浅草寺はなぜ「あさくさでら」でなく「せんそうじ」と読むのかという答えは「お寺だから」です。
ドレミを選んだ日本人
千葉優子
音楽之友社
(2017年8月31日発行)
「なぜ日本人がドレミを選んだか」の答えはこの本のどこにも書かれていません。明治から大正にかけての日本における西洋音楽受容の歴史が主に書かれています。ドレミ、つまりイタリアの音名がどうして日本で選択されたのかは謎のままです。実は「選択」はなかったのだと思います。
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