パチンコ、新酒番船、思い出の昭南博物館、教科書には載せられない暴君の素顔
乱読のかけら (2021年1月)
パチンコ(上・下)
ミン・ジン・リー
文藝春秋 池田眞紀子訳
(2020年7月30日発行・初版)
在日コリアンの家族の歴史を描いた小説です。原文は韓国語ではなく英語で書かれ、それを日本人が日本語に翻訳しました。タイトルを「パチンコ」でなく、在日コリアンのクリスチャンの激動の歴史を表すものに意訳するなら、もっと多くの日本人に読んでもらえるような気がします。
新酒番船
佐伯泰英
文春文庫
(2020年6月20日発行・初版)
灘の酒を江戸に運ぶ船の航海をめぐる人間模様が描かれています。江戸時代、海路を使った日本国内の物流が盛んだったこと、関西で作られた酒を江戸の人々が日常的に飲んでいたこと、またボジョレヌーボーの解禁日のような制度があったことなどを知るだけでも、楽しく読める小説です。
思い出の昭南博物館
E.J.H.コーナー
紀伊国屋書店 石井美樹子訳
(2016年6月30日発行・初版)
日本軍が占領した当時のシンガポールの博物館と植物園で働いていたイギリス人が書いたノン・フィクションです。著者のせいなのか、翻訳者が力不足なのかはわかりませんが、かなり読みにくい本です。しかしシンガポールの中心部に4年間住んだ私にはそれなりに懐かしい内容でした。
教科書には載せられない暴君の素顔
山口智司
彩図社
(2020年9月4日発行・初版)
著者が大学の後輩なので、親しみを感じて、この本を買ったのですが、読んでみて、ほとんど知っていることしか書かれていなかったので失望しました。暴君の悪行が殺人中心というのも物足りないし、殺人者の数を論じるなら毛沢東が取り上げられていないのはおかしいと思いました。
日本人が知らない最先端の世界史
福井義高
祥伝社黄金文庫
(2020年8月20日発行・初版)
この本に書かれている内容には目から鱗が落ちました。特に日本の左翼系の人にはぜひ読んでいただき、自虐史観を改めて欲しいと思います。読後に持った疑問は、「共産主義とはなんだったのだろうか?」「どうして多くのエリートたちが共産主義に魅了されたのだろうか?」です。
『古今和歌集』の創造力
鈴木宏子
NHKブックス
(2019年11月30日発行)
10代の頃、万葉集に惹かれ、その後、新古今和歌集に魅了されましたが、古今和歌集にはそれほど興味を持っていませんでした。この本を読んで、古今和歌集の重要性と構成の素晴らしさを少しは理解できましたが、それぞれの和歌の魅力については未だそれほど感じられていません。
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