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pbcol満洲裏史、永遠をさがしに、この冬、いなくなる君へ、革命前夜、小説 渋沢栄

乱読のかけら (2020年11月​)

満洲裏史

太田尚樹

講談社文庫
(2011年8月12日・初版)
この本は内容的にも、記述的にも、今まで読んだ本の中で最高の10冊の中に入ります。近代史の真実がこれほど読み易く、かつ整然と論理的に書かれた本は中々お目にかかれません。甘粕正彦と岸信介に関して私の持っていた情報が一新され、満洲とがとてもクリアに見えてきました。

永遠をさがしに

原田マハ

河出文庫
(2019年9月20日発行)
主人公が世界的に有名な指揮者の娘という設定ですが、展開する物語は普通の女の子のお話です。もうすぐ60歳になる私が少女に自己投影をしながら読むのは難しいので、それを全ての小説には期待できませんが、せめて父親に自己投影できるような物語にして欲しかったと思います。

この冬、いなくなる君へ

いぬじゅん

ポプラ文庫ピュアフル
(2020年1月6日発行)
最近、ドラマチックでヘビーな内容の小説を多く読んできたので、この本のような軽いタッチの本には少し退屈してしまいました。最後の展開以外は実に平凡ですが、今の日本の若い世代の人には、普通の人に起こる少し不思議な状況が親近感の持てる内容なのかもしれません。

革命前夜

須賀しのぶ

文春文庫
(2020年1月5日発行)
音楽愛好家の私としては、冷戦最後の時期の東ドイツに留学した、ピアノ専攻の日本人学生を主人公としたこの小説には、大いに共感、感動することができました。私も留学先で唯一の日本人学生という境遇で3年間を過ごしたので、その頃のことを懐かしく思い出しました。

小説 渋沢栄一(上・下)

津本陽

幻冬舎文庫
(2007年2月10日発行・初版)
渋沢栄一を知るにはよい小説だと思います。しかしこの小説の中では、ある部分では渋沢栄一が生き生きと描かれていますが、ある部分ではただ履歴を追っているようで、途中でだれてしまっているのが残念です。できれば経済関係の業績をもっと深く追求して欲し
かったと思います。

ベルリン飛行指令

佐々木譲

新潮文庫
(2010年1月30日発行)
零戦をドイツに輸送するプロジェクトの話です。この小説の続編にあたる「ストックホルムの密使」を先に読んだので、この小説をぜひ読んでみたいと思い、読みました。特に零戦輸送のアジアや中東の経由地の当時の状況が、よく調べて書かれていることが素晴らしいと思いました。

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