日本国紀、大東亜戦争の実相、罪の声、絵に隠された記憶、旅する作曲家たち
乱読のかけら (2020年12月)
日本国紀
百田尚樹
幻冬舎
(2018年11月20日発行)
やはり百田氏をもってしても、日本の歴史のすべてを新たに面白く語ることは難しかったようです。江戸時代までは大幅なスキップがあり、近代になると記述は詳しくなります。しかし歴史読み物としてはおもしろく書かれているので、読んでみる価値はあると思います。
大東亜戦争の実相
瀬島龍三
PHP文庫
(2009年11月6日発行)
明治以降の日本という国家機構自体の問題から、大東亜戦争に至った経緯が実に克明かつ批判的、しかし冷静に書かれているので、とても好感の持てる日本近代史の本です。昭和の初めによいリーダーに恵まれなかったことが日本の不幸だということを感じました。
罪の声
塩田武士
講談社文庫
(2019年5月15日発行・初版)
グリコ森永事件の真相を推理した小説です。事件当時、神戸に住んでいた私には、事件がとても身近で、テレビで報道される事件の展開をスリリングな気持ちで見ていたのを思い出します。この作者のグリコ森永事件の回答は真実に近いのではないかと思います。
絵に隠された記憶
一色さゆり
宝島社
(2019年5月24日発行・初版)
描かれた絵から作者の心理を読み解き、心の治療をする絵画療法を使った謎解き小説です。ネタに困った作家が、手っ取り早く謎解きのできる方法として絵画療法を選んだのではないかと思うほど、新鮮さと驚きのない平凡なミステリーもどきの展開になっています。
旅する作曲家たち
コリンヌ・シュネデール
ARTES(2019年4月30日発行・初版)
西久美子訳
題材はとても興味深いのですが、この本は実につまらなく書かれています。調べたことをきちんと書いただけという感じが否めません。数人の作曲家にのみ焦点を当てて、彼らの旅と曲の関係を物語として語ってくれたら、おもしろく読めたのになあと思いました。
NHK国際放送が選んだ日本の名作
朝井リョウ 他
双葉文庫
(2019年7月14日発行・初版)
これは文句なくすばらしい短編小説集です。どの小説にも必ず光るものがあり、ぐいぐい読ませてくれます。小説は荒唐無稽ではなく奇想天外、どんでん返し、勧善懲悪などの要素があると楽しく読めるということをこの短編小説集は再認識させてくれました。
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