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物語の舞台は1901年、明治時代の終わり。日本からシンガポールへと渡った若い女性・原西つばさが、想像もしなかった運命に翻弄されながらも、自らの自由と尊厳を取り戻していく姿を描きます。

シンガポール国営放送 MediaCorp Suria で2026年に放送予定のオリジナルドラマ『ハラニシ・ズバイダ(Haranishi Zubaidah)』は、マレーシアと日本(佐賀県)で撮影が行われた全10話の歴史ドラマ。監督を務めるのは、数々の国際映画祭で受賞歴を持つシンガポールの実力派監督、M・マフーズ氏です。本作は、監督の高祖母にあたる実在の日本人女性・ハラニシの人生から着想を得ており、明治時代の日本からシンガポールへ渡った一人の女性の運命を描きながら、家族の記憶とアジアの歴史をつなぐ特別なプロジェクトとなっています。

M・マフーズ監督が描く、佐賀とセランゴール

時を超える美しいロケーション

撮影はシンガポール、マレーシア、そして日本・佐賀県で行われました。マフーズ監督が特に印象に残ったというのが、佐賀の古賀邸や浜野浦の棚田。「佐賀には明治時代の建造物が多く残り、今も美しく保存されています。浜野浦の棚田は、アジアの田園文化と日本の原風景をつなぐ象徴のようでした」と語ります。一方マレーシアでは、セランゴール州の歴史的建築物「バンダル・バンティン城」などで撮影を実施。東南アジアの豊かな文化と明治日本の情緒が響き合う、壮大で美しい映像世界が生まれました。

家族・文化・そして「Resilience」

時代を超えて響く普遍のテーマ

『ハラニシ・ズバイダ』が描くのは、「愛」「裏切り」、そして「resilience(逆境を生き抜く強さ)」という普遍のテーマ。異国の地で生きた一人の日本人女性の姿を通して、国や時代を超えて共感できる“生き抜く力”が描かれます。マフーズ監督は語ります。「この物語は、私の高祖母でもある明治時代の日本女性の実話に基づいています。彼女の人生はアジアの女性たちが直面した現実であり、同時に“希望”の物語でもあるのです」。

放送は2026年マレーシア配信も予定

『ハラニシ・ズバイダ』は、まずシンガポールで放送された後、マレーシアや日本などアジア各国での配信も予定されています(公開日は未定)。1話45分、全10話で構成される壮大な物語は、時代劇としてのスケール感と、家族の記憶をめぐる繊細な人間ドラマが融合した作品となっています。アジアの記憶と女性の生き様を描く『ハラニシ・ズバイダ』。日本と東南アジアの絆を、あらためて感じさせてくれる一作です。

売春宿のオーナー「Yuki」を演じたリーナさんにお話を伺いました

「悪役」を通して描く女性の生き様

マレーシアでの撮影は今回が初めてだったそうですね。現場の雰囲気はいかがでしたか?

「はい、初めてのマレーシアでの撮影でした。国や文化は違っても、皆さんが作品に真摯に向き合っていて、現場の空気はとてもプロフェッショナルでした。多国籍なキャストやスタッフと一緒に仕事ができて、とても刺激的でしたし、新しい環境の中で本当に多くのことを学びました」

演じられた「Yuki」はどのような人物ですか?

「Yukiは日本人の売春宿のオーナーで、いわゆる“悪役”の立場にいる人物です。主役の“つばさ”を際立たせる存在でありながら、単なる悪人にはしたくなかった。恐怖を与える一方で、その裏にある“女性が生き抜くための強さ”をどう表現するかを意識しました。彼女もまた時代に翻弄されながら生きた一人の女性なんです」

撮影中、印象に残っていることはありますか?

「迫力あるシーンが続く中で、共演者たちと息を合わせて演じるうちに、役が自然に動き出す瞬間がありました。その瞬間に、演技の難しさと同時に、心が通じ合うことで生まれる表現の深さを改めて実感しました。女優として大きな学びを得た作品です」

最後に、『パノーラ』読者へメッセージをお願いします。

「『ハラニシ・ズバイダ』は来年放送予定です。監督をはじめ、キャスト・スタッフみんなの思いが詰まった作品になっています。日本とシンガポール、そして東南アジアの歴史に触れながら、当時を生きた人々の強さを感じていただけたら嬉しいです。心に残るドラマですので、ぜひ楽しみにしていてください」

『ハラニシ・ズバイダ(Haranishi Zubaidah)』
監督:M・マフーズ(M. Mahfuz) • 制作:Greybeard Pictures
放送局:シンガポール国営放送 MediaCorp Suria
放送予定:2026年(全10話・各45分)