Hello Malaysia

pradcol公邸料理人とは、日本大使公邸にて、大使が主催する公的会食での料理を担う料

Profile

1981年生まれ、神奈川県藤沢市出身。東京の町田調理師学校を卒業後、イタリア料理を習得するため単身で渡伊。帰国後は日本食も学ぶため、銀座の懐石料理店で勤務。25歳でパリ・ユネスコにて公邸料理人を務め、帰国後は東京に懐石料理店「坊千代」をオープン。現在はマレーシアにて公邸料理人として赴任中。

岳野シェフ インスタグラムはこちら (@bouchiyo)

公邸料理人とは、日本大使公邸にて、大使が主催する公的会食での料理を担う料理人。マレーシアの幅広い食文化に敬意を払い、その料理や食材を取り入れた当地ならではの日本料理を日々研究し、会食の場で提供しています。今回、公邸料理人の岳野シェフに、その思いや取り組みを伺いました。

Exclusive Interview

料理との出会い

Q. 岳野シェフが料理人を志したきっかけは?
実は、母が台所に立つ姿に憧れたのが料理人を目指した最初のきっかけです。幼い頃から美術や彫刻など“何かを形にすること”が好きで、料理もまた創造の延長線上にあると感じました。自分の感性を活かしながら表現できる仕事として、料理の道に進もうと決意しました。

料理に込める思い

Q. 大切にしているテーマや、一皿に込める思いは?
大使公邸でお出しする料理は、大使のお客様をお迎えする特別な場です。ゲストの方に敬意を払いつつ、皆様の会話が弾むよう、お料理に工夫を凝らしています。事前にゲストの出身地や年齢、職業、好みを把握し、一人ひとりに寄り添った一皿を心がけています。さらに、マレーシアの木を使った器や、当地の海をイメージして自ら作った器を盛り付けに取り入れるなど、ストーリー性や会話のきっかけを随所に散りばめています。料理そのものだけでなく、食卓で生まれる会話まで含めて「おもてなし」だと考えています。

「日本の味」と「海外の食材」

Q. 日本の食文化を表現する上で工夫されていることは?
マレーシアには、私のまだ知らない食材や料理が数多くあり、出会うたびに新しい発見があってとても刺激的です。調理の工夫としては、例えば強い香りと苦味を持つ「ペタイ(Petai)」は、クセを消すのではなく、あえてその個性を活かすようにしています。また、地元の食材を日本料理に取り入れることにも挑戦しており、「ラクサ風味のお吸い物」や「チキンライスをアレンジした寿司」など、現地の魅力を和の味わいに重ねることを意識しています。

読者へのひとこと

Q.家庭で当地の食材や料理を楽しむコツはありますか?
当地には、日本ではなかなか出会えない魅力的な食材や料理が数多くあります。マレー料理はスパイスや調味料を豊富に使うため、下ごしらえに少し手間がかかることもありますが、その分、深い味わいを楽しめるのが魅力です。12月号からは、こうした現地の食材を活かした家庭向けのレシピコラムを連載していきますので、ご家庭でも工夫しながら取り入れていただければ嬉しく思います。

来月号よりシェフ直伝のレシピ連載がスタート!

当地の食材を使用した、誰でも簡単に作れる岳野シェフ直伝のレシピをご紹介します。マレーシアと日本を料理で繋ぐ、創造される味わいを家庭でもお楽しみください。

マレー産鬼手長海老の棒寿司(バタフライピーは大使がクランタン州へ出張をした際のお土産)

椰子の実豆富とマレー食材のお吸い物(全てマレーの食材で日本料理を表現)

ペナン産鴨の味噌焼き