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『また、必ず会おう』と誰もが言った、滅びのモノクローム、昨夜のカレー、明日のパン、往診、輝く日の

乱読のかけら (2023年11月​)

『また、必ず会おう』と誰もが言った。

喜多川泰

サンマーク出版(2013年8月1日発行)
こんな素晴らしい小説を読めたことは、私にとって10年に1度の快挙です。キリスト教を学べば学ぶほど、人間の罪深さを感じ、人の善を見失いがちになりますが、この本に描かれた人々の中にある善はリアルで、しかも特別なものでないことに感動しました。

滅びのモノクローム

三浦明博

講談社(2002年8月5日発行・初版)
戦争末期、外国の大使館の避暑用の別邸が立ち並んだ中禅寺湖畔で起きた、外国人や混血の子どもの殺人の記録フィルムの再生によって浮かんできた、大物政治家の過去、それを隠蔽するために、殺人までもが起る中で、戦前の悲劇が1つ1つ明らかにされていくミステリーです。

昨夜のカレー、明日のパン

木皿泉

河出文庫(2016年1月29日発行)
テレビドラマのシナリオのような小説です。いい話だなあとは思いますが、哲学や思想などは感じられない物語です。しかし「明日のパンを買ってきて」と言われて、パンを買いに行くというごく普通のことを小説にしてしまうのですから、著者はすごいのかもしれません。

往診

上田秀人

角川文庫(2015年8月25日発行・初版)
江戸城の御殿医が幕府と朝廷、公家の間の陰謀に巻き込まれ、最後には解決してしまうという痛快時代劇です。ストーリーの展開の設定に手が込んでいて、役者がたくさん登場してくるのですが、読んでいて混乱することがなかったのは、書き手が優れているからでしょう。

輝く日の宮

丸谷才一

講談社文庫(2006年6月15日発行・初版)
丸谷才一の小説は高校生の頃によく読み、その頃はすごい小説家だと思っていたのですが、この本を読んで、偉そばって、ふざけている、文学の知識を鼻にかけて、自慢たらたらな嫌味な野郎、と思ってしまいました。日本文学に造詣が深くない人には全く面白くない本です。

真夏の方程式

東野圭吾

文春文庫(2013年6月10日発行)
やっぱり東野圭吾は面白い。この本も最後まで真相が分からないので、ついつい読まされてしまいました。そしてもう1つ分からないのは、この小説の主人公は誰なのかということです。夏休みを親戚の旅館で過ごす少年か、彼の従姉妹の成実か、やっぱり湯川博士か。

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