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愛と狂瀾のメリークリスマス、十字架、月の上の観覧車、禁断の魔術、本所深川ふし

乱読のかけら (2022年12月​)

愛と狂瀾のメリークリスマス

堀井憲一郎

講談社現代新書(2017年10月20日発行・初版)
タイトルを見た時、現代日本のクリスマスについての社会学的分析と思ったのですが、キリスト教にクリスマスが導入された経緯から始まって、戦国時代末期の日本でのカトリック教会でのクリスマス、そして明治、大正、昭和のクリスマスと目から鱗の歴史書でした。

十字架

重松清

講談社文庫(2020年7月8日発行)
いじめが原因で自殺をした中学生の残した遺書で親友と名指しされた少年の長年に渡る葛藤と苦悩を描いた小説です。もしかしたら自分がこの少年だったのかもしれないという思いがして、苦しい気持ちになりました。いじめの問題は決して人ごとではないと感じました。

月の上の観覧車

荻原浩

新潮文庫(2017年6月5日発行)
「海の見える理髪店」の作者の荻原浩が書いた感動的な短編小説集です。波瀾万丈な人生を歩んだ英雄の話ではなく、普通の人の人生にも起こるかもしれないと思われる、しかし不思議な出来事が描かれています。この本で荻原浩は私の好きな小説家の一人になりました。

禁断の魔術

東野圭吾

文春文庫(2021年7月30日発行)
政治や裏社会が絡む地方都市の開発という設定の中で、物理学の知識と製造技術を身につけた若者、その恋人、それらをすべてお見通しのガリレオ先生、盛りだくさんの要素が実に精緻に正確に絡み合う物語です。その構成と結末はまさに天才・東野圭吾の小説です。

本所深川ふしぎ草紙

宮部みゆき

新潮文庫(2012年7月15日発行)
江戸の事件物の短編集です。どれもきちんと落ちがあり、構成もしっかりしていて、事件の真相を考えながら読める、すばらしいエンターテインメント歴史推理小説です。江戸の人々の生活や思考も生き生きと描かれていて、このままで時代劇のドラマになる内容です。

日本人だけが知らない『本当の世界史』(中世編)

倉山満

PHP文庫(2022年6月16日発行・初版)
このようなタイトルに弱い私は、読んで失望、ということが多いのですが、やはりこの本にも失望しました。何か新しい歴史的な事実が書かれている訳でもなく、日本史と世界史を行ったり来たりしながら、ごちゃごちゃに歴史を書き連ねているだけの暇つぶし本でした。

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