Hello Malaysia

新型コロナウイルス

パンデミック以降、常夏のマレーシアでもマスク着用がニューノーマルとして定着。

新型コロナウイルスのパンデミック宣言から2年が経ちました。各国々が同じマニュアルに則っているため、それぞれの国の指導者の選んだ道、経済力、医療技術、国民性等により、様々な結果を出しているのは、皆さんもご存知の通りです。この2年間における世界規模での変化といえば、マスク着用と手洗いがニューノーマル(新しい日常)として定着したことでしょう。頻繁な手洗い、3密(密接、密集、密閉)を避ける、活動の自粛、学校閉鎖、自宅勤務、移動制限、ロックダウン等で、自分も相手も守ることや、不必要な接触は控えることにより、予防手段はかなり充実したと言えます。

また、特筆すべきは、新型コロナウイルスのワクチンが猛スピードで開発されたことでしょう。ワクチン開発には、一般に年単位の期間がかかりますが、今回は臨床実験の最中に緊急使用許可が下り、早い所では2020年の暮れから接種が始まりました。南米・チリは、そのワクチン接種の優等生とも言われています。同国では早い段階からワクチン接種が始まり、2022年1月末現在、人口の88%が接種済みとなっています。同国のワクチンはほとんどがシノバック社のもので、政府による移動制限緩和が早すぎたりしたものの、ブースターは混合接種で国民の64%がワクチンの接種を打ち終えています。2022年1月末現在の感染者数は1万5,000人と第1波の倍の数ですが、死者数は1日20〜40人と、第1波時に比べると10分の1に落ち着いています。

逆に南アフリカは、人口の27%のみがワクチン接種を完了済みで、ブースター接種に至っては0.7%に留まっています。検査キットや医療設備等に恵まれていないため、検査で感染確認される数は限られており、新型コロナウイルスと予測される死者数は、発表される人数の3倍から4倍いるとも言われています。しかし第2波、3波、4波と徐々に死者数は明らかに減っています。

手指や身の回りのものの除菌は、この2年の間に新たな生活習慣の1つとして定着しました。

ワクチンの効果

ほとんどの国民がワクチンを打っているチリでも、ほとんどの国民が未だ打てていない南アフリカでも、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」については、死者は少ないものの、感染者数では他のどの変異株よりもはるかに多くなっています。確固たる感染データを持つイギリスやドイツ等も、ワクチン接種完了者は国民の70%以上、そしてブースター接種完了者は50%以上となっていますが、オミクロン株の感染者数はかなり高く、死者も増えつつあります。アメリカでも同様で、医療崩壊の影響か、とも言われています。

以前から知られている通り、風邪のウイルスは常に突然変異を繰り返し、我々は何度も同じウイルスの変異株に感染します。風邪のウイルスはインフルエンザとコロナウイルスだけではなく、アデノウイルス、パラインフルエンザ、リノウイルス、RSウイルス等色々あります。ほとんどの場合、医者にかかる必要も無く治りますが、免疫力が安定していない5歳以下の子どもや免疫力が落ちている高齢者は、風邪をこじらせて肺炎球菌やHib等の細菌による二次感染で肺炎になったり、重症化する確率が高くなります。小児予防接種にはそれらに対する予防接種が組み込まれており、高齢者にも肺炎球菌の予防接種が推奨されています。

パンデミック

新種の変異株が現れ、感染力や毒性の高さ、環境の条件等が揃うとパンデミックになる恐れがあります。1918年のスペイン風邪によるパンデミックは、当時の新型インフルエンザH1N1によるものでした。死亡率10%で世界人口の3%、およそ5千万人が2年の間で命を落としました。その後H1N1は弱性化し、それほど重症化しない感染を繰り返して我々の先祖と共に存在してきました。そして2009年、およそ100年後に再度インフルエンザH1N1の変異株、豚インフルエンザによりパンデミックとなり、15〜60万人もの死者が出たと言われています。スペイン風邪と豚インフルエンザの間には1957年のアジア風邪、そして1968年の香港風邪によるパンデミックが記録されています。今までのパンデミックは、全てインフルエンザによるものだったため、専門家は「もうすぐインフルエンザによるパンデミックが起こる」と予測し、十分な準備をしていたところに新型コロナウイルスが来たのです。

今回のパンデミックは、地球規模で感染症の医学的知識を深めた部分もありながら、インターネット上で信憑性の薄い情報も広がる等、医療専門外の一般市民の方々にはストレスが大きかったのではないでしょうか。

人は元来、他の人と会って一緒に過ごしたり、お互いに喜怒哀楽を分かち合いながら生活することで絆を深め、精神的にも安定して過ごせる生き物です。外に出て太陽を浴び、自由に買い物や散歩、スポーツ等ができてこそ、心身共に健康を保てるのです。

2021年12月、アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)は、新型コロナウイルスの経口抗ウイルス薬である、ファイザー社の「パクスロビド」と、メルク社の「モルヌピラビル」に対して、緊急使用許可を下しました。新型コロナウイルス発症後5日以内に、1日2回・5日間飲むものです。同薬が、新型コロナウイルスに有効で、インフルエンザのタミフル同様に入手が容易になれば、ビフォーコロナの生活に戻るのも夢ではないかもしれません。

バラト よしみ医師

Mahameru International Medical Centre
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