『アジア人』はいかにしてクラシック音楽家になったのか?、オランダ宿の娘、自
乱読のかけら (2022年7月)
『アジア人』はいかにしてクラシック音楽家になったのか?
吉原真里
アルテスパブリッシング(2013年10月30日発行・初版)
私が興味を持ってきた課題を、インタビューの記録を中心に、ドキュメンタリー風に解説してくれた本です。あえて言えば、ヨーロッパで活躍するアジア人の情報が少ないこと、著者に日本の邦楽についての知識が欠如していること、時々自分の自慢が入るのが残念でした。
オランダ宿の娘
葉室麟
文春文庫(2022年3月10日発行・初版)
オランダ人御用達の宿の娘たちの視点というより、彼女たちを含めたオランダ人関係者の視点から、当時の日本と世界の状況が描かれ、小気味よいテンポでストーリーが展開していきます。ただ帯の宣伝文句の「若者たちの熱い恋」がどこに書かれていたのかはわかりません。
自転車泥棒
呉明益
文春文庫(2021年9月10日発行・初版)天野健太郎訳
台湾人の著者が中国語で書いた本の翻訳です。おもしろいです。そして古い自転車を収集するオタクの心理の分析、日本の台湾の植民地支配、その後の国民党支配、日本のアジア侵攻、台湾の山岳民族の問題などを、登場人物たちの体験として描いているのが素晴らしいです。
いまひとたびの
志水辰夫
新潮文庫(2020年3月1日発行・初版)
志水辰夫という小説家を知りませんでしたが、この本を読んで、とても丁寧に情景と人の心を描写し、かつよいストーリーを書く人だと思いました。短編小説のよさである、この先を知りたい、もっと読みたいと思える作品ばかりがこの短編小説集に集められていました。
女のいない男たち
村上春樹
文春文庫(2022年2月15日発行)
やっぱり村上春樹はすごいです。この短編小説集にある物語のストーリー自体は決して極上とは言えませんが、村上春樹の文章が私を惹きつけ、読ませてしまいます。そして読み終わると、何か新しい思想や哲学が書かれていたのではないか、と感じるのが不思議です。
倫敦塔・幻影の盾
夏目漱石
新潮文庫(2016年11月10日発行)
きっと夏目漱石は明治時代の村上春樹だったのでしょう。残念ながら、私にはこれらの短編小説がフィットしません。その理由は、題材に共感しにくいことと、日本語なのに、意味の分からない単語があり、英語の小説を読むような感じになってしまうためだと思います。
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