野良犬の値段、ぼくの旅のあと先、帝国の弔砲、路、逝きし世の面影、東京の空の
乱読のかけら (2021年7月)
野良犬の値段
百田尚樹
幻冬舎
(2020年12月25日発行・初版)
読み始めた時はつまらないと思いましたが、途中からどんどん引き込まれて、エンディングがどうなるのかを色々考えながら読みました。あらすじを書いてしまうと、この本を読む人の楽しみを奪うので、ただハッピーエンドと言える結末とだけ書かせていただきます。
ぼくの旅のあと先
椎名誠
角川文庫
(2020年12月26日発行・初版)
この本を20代に読んでいたら、感動し、自分もこういう旅をしてみたいと思ったと思います。しかし60歳になる私には、こんな苦労をしてまで旅をしたくはないというのが正直な感想です。ぜひ若い人には、苦労をして世界を旅し、出会と発見をしてほしいと思います。
帝国の弔砲
佐々木譲
文藝春秋
(2021年2月25日発行・初版)
去年、佐々木譲の2つの小説を紹介しましたが、それらに比べるとこの小説は少しダイナミックさに欠ける地味な展開でした。しかしロシアに移民した日本人の子孫を主人公にするなど、設定は興味深く、日本とロシアが隣国であり、歴史を共有してきたことを感じました。
路
吉田修一
文春文庫
(2020年6月20日発行)
台湾の新幹線プロジェクトに関わった日本人女性と彼女が学生時代に出会った台湾人男性の物語です。言葉がよく通じない人どうしは、言葉で互いの感情を傷つけることがなく、しかも行動や表情で思いを伝えようとするので、愛が芽生えやすいのだと思いました。
逝きし世の面影
渡辺京二
平凡社
(2018年4月18日発行)
渡辺京二という人は歴史の研究者でありながら、まるで歴史小説を書くように歴史を描くことのできる人だということをこの本で確信しました。去年紹介した「バテレンの世紀」と同様、この本も江戸末期から明治の初めの日本の人々が実に生き生きと描かれています。
東京の空の下、オムレツの匂いは流れる
石井好子
河出文庫
(2016年4月30日発行)
シャンソン歌手の石井好子が料理レシピを紹介しながら、料理にまつわる思い出を書いたエッセイ集です。これらのエッセイが最初に雑誌に連載された昭和の終わりには、まだ紹介されている料理がそれほど知られていなかったと思うと隔世の感があります。
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