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未来、レイクサイド、ラストレター、マチネの終わりに、建築探偵の冒険・東京編

乱読のかけら (2021年4月​)

未来

湊かなえ

双葉社
(2018年5月23日発行・初版)
読み始めた時は、普通の人の日常生活のちょっとした苦労や事件を話題にした、同時代の同世代の人受けするだけの小説かと思いましたが、読み進めていくと、登場人物の過去が明らかにされ、かつそれそれが絡まり合って物語が構成されていることが分かり、最後には虜になってしまいました。

レイクサイド

東野圭吾

文春文庫
(2017年10月25日発行)
天才・東野圭吾の本は、片っ端から読んでしまうと勿体無いので、小出しにして読んでいます。この本の面白いところは、有名私立中学への裏口入学とそのための母親の肉体奉仕、中年夫婦の自由恋愛、職場不倫、子供の残虐性などの現代の暗部がごく自然に組み合さり、展開していることです。

ラストレター

岩井俊二

文春文庫
(2019年11月30日発行)
「ラストレター」という映画がノベライズされたもののようですが、普通の小説としても十分通用する凝った展開のストーリーです。過去の出来事が明らかにされていくのと同時に、現在の状況が展開していくという構図が巧みに描かれていました。特に登場人物がそれぞれ個性的です。

マチネの終わりに

平野啓一郎

文春文庫
(2019年11月25日発行・初版)
できることなら、こんなロマンチックな恋を死ぬまでにしてみたい、でも苦しすぎる、と思いました。たった数回しか会ったことがなく、肉体関係のない男女が、惹かれ合い、愛し合うことがあまりに自然に語られているので、いつの間にかハッピーエンドを期待してしまう展開でした。

建築探偵の冒険・東京編

藤森照信

ちくま文庫
(2007年4月25日発行)
この本は建築が好きな人でないとあまり面白くないと思います。実際、私も退屈しました。ただ東京のど真ん中に緑に溢れた皇居があることについての考察、マッカーサーの使ったホテルや建物とその部屋、立て直す前の東京駅の探訪、聖路加病院の内部などについては興味が持てました。

ポケット詩集 II

田中和雄

童話屋
(2001年10月19日発行・初版)
この詩集には、私が日本の詩の中で最も好きな三好達治の「雪」が入っていました。また私の好きな詩人の黒田三郎の詩も3編入っていて、若い頃に親しんだ詩と再会することができました。私は隠喩を駆使した意味がよくわからない詩よりも、言葉そのものが心を動かす詩が好きです。

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