白百、ポケット詩集、共犯マジック、希望荘、天皇は本当にただの象徴に堕ちた
乱読のかけら (2021年3月)
白百
原研哉
中央公論新社
(2018年1月10日発行・初版)
素晴らしいエッセイ集です。できることなら私もこういうエッセイを書いてみたいと思いました。グラフィック・デザイナーで、美大の教授を務める著者が書いた「白」に関係する100本の珠玉の随想には、著者が知的生活、美的生活を正しく送っていることを垣間見ることができます。
ポケット詩集
田中和雄編
童話屋
(2000年6月14日発行)
この詩集からいくつか覚えてしまいたい詩を見つけ、ノートに書き写しました。吉野弘の「祝婚歌」、与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」、谷川俊太郎の「死んだ男の残したものは」、金子光晴の「奴隷根性の唄」などです。日本語はとても豊かで、言葉遊びを楽しめる言語だと再認識しました。
共犯マジック
北森鴻
徳間文庫
(2017年11月20日発行)
悪いことしか予言しないのにタイトルが「フォーチュンブック」という占い本が、日本中の自主回収で消えた中、最後に残った本を松本の書店で買った人たちが様々な事件に巻き込まれて行き、それが学園紛争、3億円事件やグリコ森永事件などに関係してくるという壮大な犯罪小説です。
希望荘
宮部みゆき
文春文庫
(2018年11月10日発行・初版)
短編小説集ではありますが、どれも私立探偵の杉村が捜査を展開するシリーズ物で、1つの長編小説としても読むことができます。どれもストーリー性に優れていますが、私は表題作の「希望荘」が、人の心の動きを巧みに掴んでいて、かつ心温まる部分も含んだ上質なストーリーだったと思います。
天皇は本当にただの象徴に堕ちたのか
竹田恒泰
PHP新書
(2018年1月5日発行・初版)
竹田恒泰という人は、ただの旧皇族の末裔で、マスコミ受けすることを言って食べている人だと思っていましたが、この本を読んで、真面目に天皇制と憲法について研究していることが分かりました。ただ彼の主張がどれだけ現実の政治の世界で影響力を持つかは別のことだと思います。
うつくしいもの
八木重吉
日本キリスト教出版
(2018年9月25日発行・初版)
八木重吉は、多田武彦作曲の男声合唱組曲「雨」の終曲の「雨」によって、クリスチャンよりも男声合唱をする人の間でよく知られています。今回改めて八木重吉のキリスト教信仰に関わる詩を読み、この人の信仰は素朴なだけではなく、深く、精神性に優れたものであったことがわかりました。
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